PIEGA Premium 3.2 レビュー

2014年春にスピーカーを買い替えて、はや2年ちょっとが経過した。
いい加減に音も落ち着いてきたのでレビューを書いてみよう。我が家はリビングオーディオで、かつ幼稚園児の息子がいるため、ソファに座ってじっくり大音量で聴く機会が時々しか得られなかった。そんなわけで、こんなに時間が経ってしまった、とひとまず言い訳をしておく。

さて、そのスピーカーとは、スイスのスピーカー・メーカーであるPIEGAのPremium 3.2という製品だ。10cmウーファーを2発、それにPIEGA十八番のリボン型ツイーターを搭載した、スリムなフロアスタンディング・スピーカーである。今回はオプションのボトムプレートも追加して、足元の強化を図っている。

ちなみに、このPremium 3.2の前に使っていたスピーカーは、LINNのNINKAである。ペア25万円というお手頃な価格のトールボーイだが、その性能はなかなか優れていた。LINNらしい端正で実直なサウンドで、さまざまなジャンルの音楽をそつなく鳴らしてくれる頼もしいスピーカーだったのを思い出す。

Premium 3.2に買い替えたときのお店での試聴記は、こちらをご覧いただきたい。また製品の詳細なデータについては、代理店であるフューレンコーディネートのサイトを参照してください。

このスピーカーを駆動するのは、2010年に購入したLINN MAJIK DS-I。ネットワークプレイヤーとインテグレーテッドアンプが一体化した、とても使いやすい優れた製品である。NASはQNAPのHS-210Dを使っている。

この2年間というもの、MAJIK DS-Iのファームウェアがアップデートされるたびに音は少しずつ変わってきたし、他にもNASを買い替えたり、スイッチングハブを追加したり、また無線LANルータを交換したり、といったシステム上の変化があった。

当然ながらその度に音は変わってきているので、ここで私が述べるのは、基本的にはこの2年の間の平均的な印象だということを断っておきたい。

まず、NINKAから買い替えての第一印象は、「音が自然で伸びやか」というものである。NINKAは、コクのある音色を持つキリッとした音像を、どちらかというと奥行き豊かに展開するスピーカーだった。しかしPremium 3.2は、例えばヴォーカルやソロ楽器の音像がもう一歩前に出てきて、伸びやかに歌うのだ。そのうえで他の楽器群は一歩引いたところに自然に定位する印象である。

音色は特に高域の刺激感が極小で、ヴァイオリンなどの弦楽器も、きわめて自然かつきめ細やかな質感が特筆ものである。このあたりは、やはりリボンツイーターが効いているのではないかと思われる。

オーディオをやっている人たちの大きな悩みのひとつに、「高域がきつくて聴きづらい」というものがあると思うし、現に私自身も時々悩んできた音の要素である。そうした高域の質感に敏感な人たちに、このスピーカーは特に自信を持ってお薦めできる。

これほど質感の自然な音を出すスピーカーを使うのは私自身初めてで、それだけでも買って良かったと思うくらいだ。全身アルミで作られていてクールな外観なので、温度感も低いのではと想像する人がいるかもしれないが、むしろほんのり「暖色系」と言ってもいいサウンドなのも素晴らしい。

一方、低域も思いのほか充実感がある。10cmウーファー2発では心もとないと考える人も、音を実際に聴いてもらえれば納得してくれるだろう。密度感に優れた、これまた自然な佇まいを持つ低域がスッと出てくる印象で、高域とのバランスもほど良い。さすがにピラミッドのようにどっしりとはいかないが、フラットなバランスの洗練されたサウンドが眼前に展開されるのは、実に快適である。

中域については、輪郭に強調感のない自然な大きさの音像がポッと浮かぶ印象だ。ヴォーカルやソロ楽器は、左右のスピーカーを結ぶ線よりもいくらか前に出たあたりに定位し、伸びやかにリリースされる。

音場については、広がり、奥行き、高さ、それぞれがバランス良く展開する。我が家ではスピーカーと横の壁の間には30cm程しか空間がないし、2つのスピーカーの間には大型テレビも設置してある。そのため、この製品が持つ本来の空間再現性が多少損なわれているのではないかと想像する。

しかし、それでもNINKAより全体的に音場は豊かだし、特に高さの再現性については格段に優れていると断言できる。オーケストラを聴いても、コントラバスやティンパニ、トロンボーンなどの低音楽器が、きちんと高い位置に定位するのは気持ちがいい。

総合すると、とにかく質感や音の佇まいが自然できめ細やか、ほんのり暖かい音色、そしてストレスフリーとさえ言える伸びやかなサウンドが特徴のスピーカーである。

こんなことを書くと、ロックは聴けないのかと思う人もいるかもしれないが、そんなことはない。ギンギンにワイルドな音で聴きたい人には、不満が出ることもあるだろう。しかし、洗練度の高い落ち着いた音でロックをじっくり聴き込みたい人にとって、このスピーカーはロックを聴く新たな楽しみを与えてくれるに違いない。

もちろん、ジャズやクラシックのような生楽器主体の音楽を楽しむのに、この透明感と暖かみを兼ね備えたサウンドはうってつけである。

また、組み合わせるアンプやケーブルなどの選択次第で、かなりカチッとした高密度のサウンドに振ることができそうな端正さも感じさせてくれる製品である、ということは付け加えておこう。

最後に、外観については文句のつけようがないくらいスマートでエレガント。音を出していないときも圧迫感が皆無なので、私のようにリビングに置くのにも最適なスピーカーである。

優れたサウンドと洗練されたインテリア性を併せ持つPIEGA Premium 3.2。買って本当に良かったと思っているし、これからも長く付き合いたいと思わせる潜在能力の高さもうかがわせる。40万円前後の予算でスピーカーを探している人には、是非とも検討してもらいたい製品である。



# by raccocin | 2016-07-31 17:08 | 音楽とオーディオが好き


考えることが好きで、のんびり屋。5歳男児の父。音楽、映画、アート、コーヒー、それにワインを愛します。完全禁煙のお店も好き。


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