キース・ジャレット・トリオを聴いてしみじみ

23日夜はオーチャードホールへ出かけた。キース・ジャレット・トリオのコンサートがあったのだ。

記憶に間違いがなければ5年ぶりに行く彼らのコンサートになる。合計するとこれが6回目のはずだ。今までは一人で行ったり友人と行ったりしていたが、今回は奥さんを連れて行った。一度くらいは奥さんと一緒に、キースのコンサートを聴いておきたいという思いもあった。

何度もこのブログに書いているように、彼らの演奏は耳にタコができるほどたくさん聴いている私だ。今回のコンサートも、前回行った新宿厚生年金会館のものと似た雰囲気の演奏で、新鮮味はまったくと言っていいくらい感じなかった。

寛いだ雰囲気の中に、ちょっぴり緊張感をプラスした上質な大人の音楽、と言ってしまうとひどく陳腐に聞こえるだろうか。しかし、本当にそうとしか言いようのない音楽なのだ。緊張と弛緩のバランスを自在に操りながら、饒舌すぎず寡黙すぎない絶妙の演奏が繰り広げられる。

彼らなら、今さら自分の技量を聴衆に誇示する必要などもまったく感じていないだろう(このトリオを昔から聴いてきた人間なら、彼らがどれほど巧いのかは十分に知っている)。
とびきり優れた技術と感覚を持った人たちが、ある年齢に達したときにだけ初めて実現可能な音楽なのだという気がした。いかにも八分の力でやっていますという風情がある。余裕綽々とはこのことだろう。

彼らが一緒に演奏し始めてからまだ長い時間が経っていなかった頃のアルバム、例えば“Standards Live”とか“Still Live”にあるような熱気、振幅の大きな劇的表現というのは影を潜めている。ただただ安心して浸っていればよい暖かい音楽が、ホールの空間に染み渡る。

休憩時間にロビーに出てみると、周りにいるのは中高年が多い。ざっと平均年齢50歳というところだろうか。42歳の私がまだ若い方に思えてくる。演奏者と一緒に歳を取った聴衆の姿がそこにはあった。
同じ音楽家のコンサートに何度も足を運んでいると、「俺もみんなも歳くったんだなあ」という感慨が起こるのだね。こういう感覚は初めてだ。

私も、初めて彼らのコンサートに行ったのが96年だから、もう14年が経った。もちろんキースたちも確実に歳を取ったわけで、最高齢のゲイリー・ピーコックなど、もう70代半ばである。キースもジャック・ディジョネットも60代。頭には白いものが目立つ。

あと何回彼らのコンサートに行けるんだろう、そんなしみじみとした気持ちにさせられた夜だった。
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by raccocin | 2010-09-26 21:31 | 音楽とオーディオが好き


日々の想いをつらつらと。音楽、映画、アート、コーヒー、それにワインを愛します。


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