『色彩を持たない〜』を読了

今日は、奥様が所用で出かけているので、会社を休んで家で子守り&留守番をしています。昼間から、冷えた白ワインを飲みながら書いてます。

さて、村上春樹の新作、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読み終えた。
4月にこの本が発売されたその日に買ってきたのに、今頃になって、やっと読了である。ここまで時間がかかったということ自体が、私のこの本に対する印象をある意味物語っているだろう。

もちろん、私は春樹の文体(独特の上手い比喩も含めて)、そして何よりその世界観が好きなので、最初から最後まですらすらと読めたし、決して退屈させられることはなかったのだけれど。

さて、この小説のストーリーは、簡単に言うとこんな感じ。

《高校時代から続いている仲良しグループから、大学2年のとき、理由も明らかにされず自分だけつま弾きにされた青年。それ以来ずっと封印していた心の傷に向かい合うため、30代半ばになった彼は、真相を明らかにすべく立ち上がる》

これって、並の作家が書いていたら、とてつもなく退屈で感傷的な小説になってしまっていただろう。
それを、こんなにも読み応えがある作品に仕上げる手腕は、春樹先生、やっぱり凄いとは思う。いつもながらの、静かだが濃密で、読み手のイマジネーションを豊かに広げてくれる春樹ワールド。
それに浸ることができて、今回も良い時間を過ごさせてもらったという気持ちはある。しかし私は、それ以上の感慨は受けなかったというのが正直なところだ。

前作の『1Q84』が、あまりにも大傑作だったせいもあるだろう。あれと比較すると、どうしても小粒に見えてしまうのは仕方がない。古くからの春樹ファンが読むならば間違いなく楽しめるだろうが、初めて読む春樹の作品としては、あまりお薦めできない。

じゃあ、初めて春樹を読むのなら、どれが良いかって?
私のお薦めは、『風の歌を聴け』、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』、『1Q84』あたり。

長いのは嫌だという人は、もう圧倒的に、デビュー作の『風の歌を聴け』がオススメ。
この小説ときたら、ストーリーらしきストーリーは無いと言ってもいいくらいなのだが、クールかつポップな言葉の魅力だけで、存分に楽しませてくれるのだ。この人も、若い頃はこういうものを書いていたのです。

これが気に入ったら、後に続く『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』も大好きになること請け合い。
これら初期3部作は、私にとって宝物だ。実を言うと、さほど読み返したりはしていないのだが、あれって良かったよなあと思い出すだけで、なにか心がほんのり暖まり、切なくなってしまうような魅力的な作品群なのだ。

もしも、こういうものを大学時代に読んでいたら、学生生活の一日一日を、もっと大事にしていただろうになあと想像してしまうような作品群である。私が春樹を読み始めたのは社会に出てからだったのだが、学生の頃から読んでいればよかったと悔やんだものだ。

そんなこと言われてもピンと来ないって?
まあ、ここはひとつ騙されたと思って(騙されたくない人も)、ぜひ読んでほしい!
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by raccocin | 2013-06-05 15:37 | 本と雑誌で心の旅を


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